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メディア世界はこの一年大揺れだった。話題のつきないNHK関連問題、フジテレビ・TBSとライブドア・楽天などIT企業との格闘、朝日・産経新聞の捏造事件、取材源をめぐる倫理問題、こうしたメディア批判を利用しながら、"人権保護"という名目でメディア規制もじわっと強まっている。しかし他方で、地域メディアに対する期待は、予想以上に高いようだ。
日本初のNPO放送局「京都コミュニティ放送(通称・京都三条ラジオ・カフェ)」は来春で開局三年をむかえる。今では京都内外の八〇ほどの市民グループやNPOが、レギュラー番組をもっている。環境問題専門の番組『NPOみどりのまちづくり研究所』、難民の現状を考える『難民ナウ!』、坊さんたちのトークショー『ボンズ・カフェ』、看護師さんたちの『FM看護系★ナイト』、イラクの市民レジスタンスを点字つきで紹介する『がんばれ!!イラク市民ラジオ』などなど、番組はそれぞれユニークだ。私のゼミ生たちも、ラジオ・カフェでの番組制作が必須である。
さてこの半年、ゼミ三回生たちが「ラジオ・カフェ」の放送が聴こえる下京区の八百世帯を対象に、アンケート調査を行なった(有効回答五五一)。「市民がつくる番組」について、プラス・マイナス計一〇項目について聞いたところ(複数回答)、「地域社会に関する住民の関心を高める」五九%、「地域住民のさまざまな考え方や感じ方が反映できる」四三%、「放送に多様性をもたせることができる」三二%、「住民相互の結びつきを強める」二三%などの高いプラス評価がみられた。逆に主なマイナス評価は、「制作する一部住民の自己満足に終わっている」十四%、「政治宣伝や営利目的に利用される危険がある」十一%、「放送の質的な低下を招くおそれがある」五%などであった。市民制作番組に対しては、もっと厳しい批判があるのかと予想していたのだが、プラス評価がマイナス評価を圧倒的に上回ったのは予想外だった。
ちなみに下京区の人たちの二三%が「自ら情報発信してみたい」と答え、九%が「ラジオ番組を作りたい」と答えていて興味深い。特に中高年、公務員、主婦などが高い意欲を示している。市民が制作したい番組のテーマは、環境問題、福祉、政治の順になっていて、学生たちが予想した「身の回りのできごと」や「趣味の情報」などの項目への答えは、あまり見られなかった。社会問題への発信志向がきわめて強い。既存のメディアによる情報では飽き足らないのかもしれない。まして住民どうしのつながりを深めたり、地域課題の解決というような、地域のコミュニケーション機能は、マスメディアにほとんど期待できないのは当然かもしれない。
メディア事件をめぐって、それぞれのメディアが「公共性」を主張してはいるが、市民・住民の考える公共性と、メディアが考えている公共性は違ってきているのだろう。来年はもっと揺れるかもしれない。私たちが発信する時代がきたのではないだろうか。
市民とメディア研究会・あくせす会員
津田正夫
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