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京都新聞「放送時評」
05年9月
「第三回市民メディア
全国交流集会in山江村」

  各地のケーブルテレビやコミュニティFMで番組を作っている市民・住民・NPOの人たちが、成果や経験を交流したり共通する課題を話し合う「第三回市民メディア全国交流集会in山江村」が、今月九日から三日間、熊本県山江村で開かれ、各地の住民ディレクターが焼酎を傾けながら熱い議論を交わした。テーマは「TVは見るもんじゃなか、出るもんバイ!」。

 山江村や人吉球磨地区は、知る人ぞ知る“住民ディレクターのメッカ”である。地元民放テレビ局やケーブル局、インターネットなどを駆使して、住民自身が企画・撮影し、編集からスタジオ送出までこなす。「豊かな自然環境に恵まれた山江村は、地球にやさしく、人に安らぎを与えるエコロジーランドを目指して、自然と人との調和の取れた村作りを推進しています。」とHPにうたうが、容赦なく切り捨てられる一次産業、進行する過疎、シカやイノシシが林業に与える被害など、都会の人たちに問いかけていきたい課題は少なくない。

 人吉球磨広域行政組合は、地元テレビ局を飛び出した岸本晃さんの智恵と技術を借りて、一〇年前から地域振興戦略の一環として住民ディレクターの育成に取り組んできた。九九年の熊本国体のとき、委託をうけて県が設けた臨時放送局「FMみらい」のスタッフ百二十人の住民ディレクターを養成した。自分のまなざしで地域を見つめなおして作品にしてゆく過程で、それぞれの中で何かが変った。国体が終わっても、彼らは解散しなかった。番組ディレクターから、地域づくりディレクターに変身したのだ。

 その後熊本朝日放送『新発見伝くまもと』などレギュラー番組の制作、全国の地域起こし「交流大学」開催、村営「マロンてれび」(インターネット放送局)発信にも取り組み、去年からはCS(通信衛星放送)でも山江村発『南の國から〜どぎゃんですか〜』を立ち上げてきた。

 この“山江村神話”を求めて、全国から集まった住民ディレクターや学生は百五十人。村で民宿し、清流を利用した豆腐づくり、栗の収穫などの現場で実習しながら、別のメンバーが撮影するという“山江流番組制作講習” や“京都ラジオカフェ流ラジオ制作”に投げこまれた。二日目午前は自分たちが撮った映像編集、午後からは、「住民参画のドラマづくり」、「市民メディアとNPO活動」、「世界のオルタナティブメディア」、「市民メディアと著作権」、「市民メディアとアクセス法」などなど、一三の分科会に分かれて口角泡を飛ばしあった。

 偶然にも集会初日の九日には、日本で三例目となるNPO法人によるコミュニティ放送局「長崎市民エフエム放送」の放送が始まり、また大隈半島(鹿児島)で今年度開局を目指している三つの市民放送局からもスタッフがかけつけた。不祥事つづきのメジャーメディアの顔色が悪いのに比べ、交流会は女性・若者らの笑顔にあふれていた。素朴ではあっても公益性の高い各地の市民放送局を“もうひとつの公共放送”と呼びたい。

市民とメディア研究会・あくせす会員
津田正夫