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京都新聞「放送時評」
05年6月

 放送雑誌『GALAC/ぎゃらく』を発行している放送批評懇談会は、〇四年度「ギャラクシー賞」テレビ部門の大賞に『笑ってコラえて!文化祭 吹奏楽の旅完結編 一音入魂スペシャル』(日本テレビ)を選んだ。"吹奏楽の甲子園" 普門館をめざす全国の高校生たちの練習風景から全国大会までのひたむきな姿を、娯楽と知的好奇心の絶妙な構成で描いたことを評価したものだ。このほか優秀賞には、高速道のトラック事故を追跡した『見過ごされたシグナル』(中京テレビ)、四国の小さな町のお好み焼きやさんのドキュメンタリー『くもりときどき、晴れ』(南海放送)、ドラマ『黄楽、その後』(テレビ東京)、ラジオ部門ではエフエム沖縄の「もうひとつの涙そうそう」を選んだ。ほかにCM部門や報道活動部門でも大賞、優秀賞、選奨作品を選んでおり、特に地方局やBS局の人たちの健闘を評価している。

 このギャラクシー賞は今年で四二回目となる。手分けをしているとはいえ全国隅々までウォッチし、膨大な放送番組からこうした作品を見つけ出してゆく作業が、並大抵の苦労ではないことは容易に想像できる。地方局の限られた予算、目前の忙しい仕事をやりくりしながら合間を縫っては、スポンサーのつきにくい番組を制作してゆくスタッフの努力など、さまざまな現場の条件を熟知したうえでの批評には、リアリティと温かみがあり、無力感に陥りがちな各地の制作者を励ます。私も現場にいたときは目標にした賞である。

 音楽・演劇はもちろん、映画やテレビなど創造的な表現には、客観的な評価の基準があるわけではない。その時代の、具体的な社会的/文化的環境の中で、それぞれ固有の問題や哀楽を共有しながら、制作者がどれだけ状況と切り結び、新鮮な表現を創りだしているかを、個人の責任で批評者は語る。どんな仕事もよき理解者や批評者によって成り立つものではあるが、視聴者というものが見えない放送にとっては、辛口・悪評であろうとも批評(いま風に言えば"レス")は決定的に大切だ。批評者とは私たちのことであって、特別な専門家のことではないはずだ。

 ちなみに『GALAC』七月号には、このほかに小田桐誠/伊藤洋子の「びっくり仰天!負の歴史メディアへの政治介入。二〇〇〇年〜〇四年・事件簿」特集があり、ホントにびっくり仰天させられる。「視聴率リテラシー(藤平芳紀)」、「GALAC式ローカル風土記(福浜隆宏)」、「青春18メディア紀行(岩本太郎)」、「アジアプレス・リレー連載<ASIAの眼>(加峯尋)」などもテレビの見方を広げてくれる。

 ガイド本よりもう少し深くテレビの内情を知りたければ、メディア総研の『放送レポート』、マスコミ市民会議の『マスコミ市民』などの批評誌も鋭い。TBSの『新・調査情報』、NHKの『放送研究と調査』なども、業界の急所がわかって意外に面白い。

 結局私たちの眼差しや態度がテレビの質を決める。面倒でも放送局へレスしてみると、違った風景が見えるはずだ。

市民とメディア研究会・あくせす会員
津田正夫