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橋田信介さんの恬淡としながら熱いプロフェショナルな仕事の仕方はもとよりだが、連れ添ってこられた幸子さんの生き方、あるいは二人の自然な関係性、精神的な絆の結び方がすがすがしい。「覚悟」という意識や、九鬼周造が示した「粋」の概念を絵に描いて見せてくれたといってもいい。 ところで、この番組は去年の開戦の時から撮られている。通常、よほど親しい人でもないかぎり語らない個人的な回想や感慨も記録されている。これが福岡放送の作品であることに興味をもち、小川記者に聞いた。 国際ジャーナリスト連盟によると、イラクでは開戦以来、すでに43人の報道関係者が死亡した。ベトナム戦争では日本人14人を含めた死者・不明者は約70人にのぼるという。 「戦争の真実を知りたい。そして自分の目で確かめたい」という夫のジャーナリストとしての生き方に大きな影響を受ける。銃弾や砲弾が飛び交う戦場で、橋田さんは数々の悲劇を目の当たりにしてきた。家を焼き払われ、泣き喚きながら逃げ惑う家族、道端に放置されたままの兵士の死体、傷の痛みに苦しみながら死んでいく子供達。運命のはかなさが身に染む一方で、橋田さんが最も強く印象付けられたのは、死と隣り合わせの日常を懸命に生きようとする人々の姿だった。「死が身近であればあるほど、生きていること、生き続けることの尊さを全身で感じられる」…戦場から帰ってきた橋田さんは幸子さんに話してくれた。 そして幸子さんは語る。「夫はジャーナリストとしての大先輩。尊敬できる人…」。 最後の取材場所となったイラク。夫は幸子さんと一人息子の大介さんに「遺書」を残し、バクダットへと旅立っていった。 「NNNドキュメント」は、1970年1月にスタートした報道ドキュメンタリー番組です。この番組の特色は、日本テレビ系列の全国30社が制作に参加しており、毎回、さまざまなテーマの問題提起がされています。現在の日本のマスコミの多くは、中央=東京の発想で作られていますが、この番組では、ローカルの視点を大切にしています。 どのように生きるか、という青くさい問いを、久しぶりに思い出させてもらった。 市民とメディア研究会・あくせす会員
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