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京都新聞「放送時評」
04年4月


熊本県山江村が主催し『山江村民てれび』やIT関連会社などが協力して作った番組「熊本発!だんだんなー山江村LIVE」(三月一七日10時〜13時)を見た。見たといってもインターネット放送なのでパソコンで見たのだが、「いよいよライブ9時間目に!日本初の住民ディレクターによる四元中継ライブ好調!モンタナとの中継が実現!」というキャッチコピーにあるとおり、役場前の野外“スタジオ”をベースに、東京・愛知・福岡・アメリカのモンタナ熊本県事務所など七ヶ所からのインターネット中継を生かした、村の人たち自身の企画・出演による三時間のナマ番組。平日の日中なのでアクセス数は千件前後だが、関係者の意欲が画面から溢れ出ていた。

シリーズ三回目のこの日は、「ITを活用して農林水産業をいかに活性化させるか」「メディアを活用した住民参画の手法」「二一世紀の住民自治に向けて」をテーマに、村の人たちや内山村長をはじめ、大学の研究者、ストリーミング会社の幹部などさまざまな人たちが侃侃諤諤の議論をかわし、その合間に住民レポーター・民ちゃんのインタビューなどで特産球磨焼酎、猪汁、ニッキの甘茶、桜や胡麻のアイスクリームなどもつぎつぎ紹介されるというチラシ寿司のような手作り番組である。さらにビデオで麻生総務大臣や地元出身代議士も出演させるシッカリ演出。ちなみに「だんだんなー」というのは「よく来てくれてありがとう」という方言だという。

  『山江村民てれび』というのは、球磨川の流れる山江村ウェブサイトの放送局で、常時一〇あまりの番組を出しており、その積み重ねの上に今回のシリーズへの挑戦となった。『村民てれび』の中心になっているのは岸本晃プロデューサーに率いられたユニークな住民ディレクターたちである。五年前の「くまもと未来国体」の時、キャンペーンのために『FMみらい』が臨時開局・放送されたのだが、岸本さんは将来を見越して勤めていたテレビ局を辞め、百人もの住民ディレクターを育ててきた。

熊本全域に散らばる住民ディレクターたちの多くは女性で、『山江村民てれび』だけでなく、熊本朝日放送の金曜日夕方の情報番組『ふるさと情報局』のコーナー『新発見伝くまもと』の企画・制作、さらに人吉市と球磨郡一三町村による広域行政組合が衛星放送で流している番組『南の國から』、熊本ケーブルネットワークの番組『使えるテレビ』の制作主力にもなっている。

先日『山江村民てれび』は、デジタルメディア協会が優れた地域コンテンツに贈るリージョナル賞を受賞し、中心グループが制作した地域起こしドラマ『よかとこ発見ロマンの旅』は、去年の「地方の時代映像祭」でも上映されて注目を集めた。
IT関連のいかがわしい企画や事業は世の中にゴマンとあるが、球磨川流域での事業はあくまで住民の参加・行動と地域の活性化を基本に据え、地域の未来を共同で創るというコンセプトが一貫していて、分権のイメージを広げてくれるのだ。

市民とメディア研究会・あくせす会員
津田正夫