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京都新聞「放送時評」
04年2月


 一月二四・二五日の二日間、名古屋で<市民メディア>に関するユニークなイベントが開かれ、二百人を超える人たちが参加して会場は熱気に溢れた。<市民メディア>とは聞きなれない言葉だが、京都のコミュニティFM「京都三条ラジオカフェ」もNPOの放送局だ。各地のコミュニティFMやケーブルテレビでの市民・住民制作の番組、在日外国人向け放送である神戸の『FMわぃわぃ』、聴覚障害者向けのテレビ『目で聴くテレビ』なども市民メディアだ。タウン誌や最近のインターネット新聞でも、市民が企画・制作するものが多い。

  イベント初日は、京都三条ラジオカフェをはじめ、さまざまな事例報告と交流会があった。行政の広報予算を活用しながら “映像つきウェブ新聞” を発行している札幌のNPO「シビックメディア」は、一般市民が記者になり札幌市のホームページを制作する。札幌の環境問題をくらしの視点から取材したり、「雪祭り」参加者に実用情報も提供するジャーナリズムである。

ケーブルテレビでの市民番組は時々紹介されるが、NPO「むさしのみたか市民テレビ局」(東京)は、ケーブル事業者とパートナーシップ協定を結んで、番組を毎月制作している。内容が行政の方針とあわないこともあるというが、行政との交渉の過程も、市民ジャーナリストの格好の訓練になるようだ。

  三重テレビはKBS京都と同じように独立UHF局だが、住民との結びつきを強めるために「エムテレ・よーい、スタート!」という住民制作番組を、毎週一回ローカル時間帯に設けている。高校生・大学生の作る新鮮な感覚の番組が、エムテレの柱だ。

  熊本朝日放送・金曜日のテレビ番組『新発見伝くまもと』などを企画・制作してきた主婦中心のNPO「くまもと未来」は、もともと熊本国体の臨時FM局を母体にできた住民ディレクターたちの集団だ。増えすぎたカモシカのこと、危機に立つ地場産業、川辺川の環境問題など身近な問題を、猟師や主婦、農業者の目線で伝えつづける。

  米子、湘南などの事例発表もふまえて、参加者たちは分科会に分かれて、それぞれの課題を活発に議論しあった。私も主催した実行委員会の一員だが、参加者の数が当初の予想をはるかに超え、市民メディアへの関心の高まりに正直驚いた。マスメディアの報道や番組では満たされていない想いが、各地で噴出してきたという感じである。

  二日目は、まちづくりをテーマに市民が創った作品を上映し、優秀作を選びながら地域の課題を考える「まち・コミ映像祭」(名古屋都市センター主催)。三年目の今年は、随分と映像制作の技術も上がっている。一一〇本の応募作品から、グランプリには『風の女たち』(熊本)が選ばれたが、どの作品にも共通するのは、住みやすく生き生きとした町を創ってゆこうとする市民・住民の熱意、当事者としての視点が明確なことだ。市民番組は、いい話に偏りがちな点もあるが、“客観報道”や“視聴率主義”のマスメディアとの対比がとても面白い。

市民とメディア研究会・あくせす会員
津田正夫