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京都新聞「放送時評」
03年3月


二月二一日、放送史年表に将来載せられるにちがいない大きな出来事が京都で起こった。京都三条御幸町角の旧毎日新聞ビル(1928ビル)にできたコミュニティFM放送局「京都三条ラジオ・カフェ」(79.7メガヘルツ)に総務省から仮免許が下りたのだ。コミュニティFMというのは、出力が二〇ワット以下で、市区町村くらいの範囲しか電波が届かない小さな放送局。日本ではすでに一六〇局以上が開設されている。
ではどこが画期的かというと、「ラジオ・カフェ」の設置・運営の主体がNPO法人(理事長・有本嘉兵衛)であるということだ。つまり市民が番組を企画し、制作・発信できる非営利放送局なのである。そういうものはどこにでもありそうなものだし、事実アメリカでは、地域住民が作る非営利テレビ局がなんと二〇〇〇局もある。カナダでは一七〇、ドイツでは七七もある。韓国でも、一昨年から市民放送が始まり、今回の大統領選挙にも一役買った。

市民団体が、メジャーの娯楽番組や東京中心のニュースとはちがったさまざまな番組を発信する放送局をもつことは、時代の必然だろう。ところが日本では、ラジオ・テレビ併せて四百の放送局のうち、NHKを除くと、株式会社以外ではこれまで許可されなかった。阪神淡路大震災で生れた在日外国人のための放送局「FMわぃわぃ」も、聴覚障害者の「目で聴くテレビ」、視覚障害者の「日本福祉放送」も、非営利団体として免許は認められず、株式会社としてポルノ番組と同じ条件で競争し、利益をあげることを求められてきた。
だがここへきて、漸く電波の「言論・表現の自由」に小さな灯りが点いたのである。私たちも企画を出して、条件にかなえば番組を制作・放送できるということである。
ちなみに私のゼミの学生たちも、企画・制作に涙と冷や汗を流している。十五分から三〇分の彼らの番組はバラエティに富む。さまざまな二十歳をインタビューした「ハタチノキモチ」、インド舞踊家Dayaさんとの徹底トーク「Daya'sインドエモーション」、ロックバンド『片山ブレイカーズ&ザ☆ロケンローパーティー』のライブとインタビュー、話題のビデオジョッキー「映画まるかじりラジオ」、京都のバーを舞台に世相を風刺する「Bar Kiyomizu」、児童館の母子とのインタビュー構成「小さい夢みぃつけた」などなど。
 
実験的な共同作業としては、立命館以外にも仏教大学応用社会学の学生たちも参加しており、また春からは数大学との提携制作、市民の本格的な企画制作をめざすという。また月千円払うと、運営に議決権をもつ正会員になれる。入会金は一〇万円と安くはないが、日本初の市民放送局を支えるにはこの程度はしかたがないだろう。会員のひとり三条京阪の壇王法輪寺信ヶ原住職は「普通のおばちゃんでも簡単に参加できるラジオになればよろしいな」という。
 濃い自治意識と伝統の中から、どんな新しい放送文化が生れてゆくのだろうか。あなたも企画を出してみては?

市民とメディア研究会・あくせす会員
津田正夫